而今
にこん面倒なこと、気がのらないことはついつい後回しにしてしまうクセがあります。そんなボクでもなんとなく生きて来れたくらい世の中は平和なわけですが、それでも自分自身で今やらなきゃいけない、という場面は定期的にかならずやってくるもので。
閑話休題。むかしむかしの中国でのお話。道元禅師が修行中、炎天下に農作業をしている老いた僧に出会ったそうです。道元は老僧に「なぜあなたがこんな辛い仕事をしているのか」と問うと、老僧いわく「他は是我にあらず」と。さらに道元が「しかもなぜこのような炎天下に」と重ねて問うと、老僧は「さらにいずれの時をか待たん」と、答えたとか。
道元禅師が残した禅語「而今」は、現代語訳すると「今だ!」というような意味の語。シンプルな言葉ゆえさまざまな角度から解釈されているようですが、きっと「今、俺がやらずに誰がいつやるんだ」と語った老僧との出会いが刺激になっているんでしょう。
悪いクセが出てつい怠けそうになったら、今度からこの言葉を呪文のようにつぶやいてみようかな。
禅のことば – 159 / 365
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