自分の感受性くらい | poem by Noriko Ibaragi 書道作品 japaneseart japanese calligraphy 書家 田川悟郎 Goroh Tagawa


自分の感受性くらい

YOUR OWN SENSITIVITY AT LEAST
poem by Noriko Ibaragi

No.1,726
2019/01/29 – 029


書のお題を求めて手当たり次第にいろんなコトバの山に手をつっこんでガサゴソしていると、たまにうっかり手を切りそうになるような切れ味の鋭いモンスターに出会うことがありまして。

この、茨木のり子さんの詩もそんな中のひとつです。
強心剤にもなれば、毒薬にもなり得る、ちょっと強めのお薬。
今日は自分自身へのカンフル剤として、何度か書いてみました。

体力のあるときに読んでみてください。
あと、読むなら夜よりも天気のいいお昼がいいとおもいます。


ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもがひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

… 茨木のり子


My little parching heart,
don’t blame it on the others.
Myself, I failed to water it.

Growing more difficult,
don’t blame it on your friends.
Who was it lost the pliancy?

My own irritation,
don’t blame it on the family.
I myself was bad at most things.

Early ardour nearly gone,
don’t blame it on the daily round.
My spirit was enfeebled from the outset.

Each and every evil thing,
don’t blame it on the times,
abandoned barely glinting self-esteem.

Your own sensitivity at least,
protect it by yourself,
oh you great idiot.

… Noriko Ibaragi