ゆりかもめ(都鳥)


ゆりかもめ(都鳥)
YURIKAMOME
black headed gull



ゆりかもめは、イギリスやアイスランドから飛来する渡り鳥。冬の日本に越冬のためにやってきます。

ゆりかもめ、漢字では「百合鴎」と書くのが本当は正解です。
もっとややこしいことに、「ミヤコドリ」という和名の鳥が実は別にいたりします。

そのむかし、古典文学の中にしばしば登場する「みやこどり(都鳥)」という鳥がいました。きっと今の「ミヤコドリ」と同じ鳥だろうと思いきや、「伊勢物語」に残されている「都鳥」の描写を読むと、どうやらそれはミヤコドリではなくゆりかもめのことに違いない、ということで、「都鳥」と書いて「ゆりかもめ」と読むややこしいことになったようです。迷惑なのはセレブ風な名前を乗っ取られたミヤコドリ。まだ写真もなければ図鑑を売る書店もない時代のこと。鳥の名前なんてきっとみんな適当に口伝していたんでしょうね。

伊勢物語に登場する「これがミヤコドリだよ」と言った渡し船のおじさん。果たして彼が正しかったのか、はたまたゆりかもめを間違えてミヤコドリと言ったのか、真偽の程は定かではありませんが、こういう経緯も含めて文化であり歴史なんだなぁと。しみじみ。


白き鳥の嘴と脚と赤き、しぎの大きさなる、水の上に遊びつつ魚を食ふ。
京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。
渡しもりに問ひければ、「これなむ都鳥」と言ふを聞きて、
「名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」 とよめりければ、
舟こぞりて泣きにけり。(伊勢物語より)



やまとことば – 306 / 365

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