ねまる 書道作品


ねまる
NEMARU
sprawl



涼しさを わが宿にして ねまるなり
… 松尾芭蕉(奥の細道)


古語においては、「うずくまる」、または「くつろぐ、楽に座る、寝そべる」などの意味で使われていた語。冒頭の芭蕉の句は、山形県尾花沢市を訪れたときに、泊めてもらったお宅でのんびりくつろいだことを感謝して詠んだ句なんだそうです。

おもしろいことに、東北の山形、秋田、それに九州の福岡、佐賀、熊本にはいまでも「ねまる」ということばが方言として残っているそうです。でも、ちょっと違うのが、東北では古語通り「ゆっくり座る、くつろぐ」という意味ですが、九州では食べ物が「腐ってだめになる」ことを言うとか。面白かったので、方言辞書の用例をご紹介しておきます。


山形
まんつ、ゆっくりねまって、おじゃっこでもおのめんしぇ
(まず、ゆっくり座って、お茶でもお飲みくださいよ)

秋田
まんじ、ねまれ
(まあ座れ)

福岡
このがめにゃー、ねまっとーばい
(このがめには腐っているよ)

佐賀
こん飯ゃがばい臭かぼ。きゅーわぬっかったけん、ねまったとばい
(この飯はひどく臭いよ。今日は暑かったから、腐ったのだろう)

熊本
なつんくいもんな、はよくてしまわんとねまってしまうもんな
(夏の食べ物は、早く食べてしまわないと腐ってしまうよ)




大和ことば – 343 / 365

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