莫妄想(まくもうぞう)禅語 書道作品


莫妄想

まくもうぞう


そのむかし、心配事の96%は未来の起こり得ないできごとに対する不安で、悩んでも意味がないという話を聞いたことがあります。なんでも実際にインタビューした結果を集計したらしく、モニターが不安に感じていたことの80%は実際には起こらず、残りの16%は事前準備をしたため無事に回避できたとか。なすすべもなく実現してしまったのは残り4%のケースだけだったそうです。

閑話休題。ひとは、漠然と未来に不安を抱いたり、期待しながら生きています。鎌倉時代の武将北条時宗とて例外ではなく、当時緊張状態にあったモンゴル帝国の侵攻、いわゆる元寇にどう立ち向かうべきか思い悩み、禅宗の無学祖元に相談します。それに対し、祖元和尚が返答したのがこの「莫妄想」ということば。

無学祖元和尚が引用した「莫妄想」は、「妄想することなかれ」という意味の中国の無業禅師のことば。
今まで経験したことがないくらいに強大で恐ろしい敵にどうしたら勝てるだろうかとか、負けてしまったらどうしようとか、元軍を打ち負かして名を挙げたいとか、今はそのような雑念に囚われて時間を無駄に費やす時ではない。今やるべきことに専心せよ。という意味でこれを時宗に伝えたと言われています。

ひとは、不安な状態が続くと免疫力が低下すると言います。冒頭の調査が正しいとするなら、今抱えている心配事がほんとうに起こり得るのか考えてみるのもいいかもしれません。仮に起こり得るとしたら、準備できることを準備し、これで無理なら心配したって無理、と開きなおって、あとはきれいサッパリ忘れてしまいましょう。


禅のことば – 009 / 365

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