恋水(こいみず)


こいみず(恋水)
KOIMIZU
tears



万葉集に、若い娘とその娘に恋心を寄せる白髪のおじさんの歌のやりとりがあります。

「我が手元 まかむと思はむ ますらおは 変水求め 白髪生ひにたり」

私の腕枕で寝たいというおじさん、若返りの水を探してるうちに白髪になっちゃったんだね、とそっけなく袖にする娘さんに対して、おじさんは、

「白髪生ふる ことは思はず 変水は かにもかくにも 求めて行かむ」

白髪なんて気にしてないよ、変水見つけて若返ってやるから待ってろよ、とめげずに歌を返しています。

このおじさんの片想いがどうなったのかはさておき、歌に登場する「変水」が今回のお題の「恋水」のルーツ。「をちみず」と読みます。この「変水」は、歌にあるように若返りの水のこと。当時は、月にこの霊水があると言われていたそうです。

これをのちに「恋水」と間違って写したところから、愛しい人を想って流す涙という意味で解釈されるようになったというのが定説なようですが、きっと間違ったんじゃなくて、このおじさんの恋心に引っ掛けて、誰かが洒落で書きかえたんじゃないですかね。その当時は「恋水」と書いて「なみだ」と読んでいたとか。なかなか洒落たハナシです。


大和ことば – 053 / 365

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