かぎろい(陽炎)


かぎろい(陽炎)
KAGIROI
light of dawn



東の 野にかぎろひの立つ見えて かへり見すれば 月傾きぬ
… 柿本人麿

今更に 雪ふらめやもかぎろひの 燃ゆる春べと なりにしものを
… 詠人知らず


いずれも万葉集の歌です。「かぎろい」、旧仮名遣いで「かぎろひ」は、夜明けの薄明かり、もしくは地面近くの空気がユラユラとゆらめくかげろうのこと。

音も似ているところを見ると、もともとは同じ語だったんでしょうか。
漢字も同じ字が当てられているのでややこしいことこの上ないですが、「かぎろい」には曙(夜明け)の光、ユラユラのかげろう、どちらの意味もありますが、「かげろう」には曙の光という意味はありません。

余談ですが、冒頭の柿本人麿の歌の解釈をめぐって、「かぎろひ」が日の出間際の「朝焼け」のことなのか、あるいはもっと早い時間帯に山の端がほんのり明るくなりはじめる薄明かりをいうのか…という論争もあるそうで。日本で初の辞典と言われている「倭名類聚鈔」が編纂されたのは、万葉集からずいぶんと経ってからのこと。それまでのことは想像するしかないわけです。それもまたおかし。


やまとことば – 285 / 365

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