火暖水冷(ひはあたたかに、みずはひややかなり)禅語 禅書 書道作品


火暖水冷

ひはあたたかに、みずはひややかなり


今日、都バスに乗って渋谷に向かってたら、小学校に入るか入らないかくらいの小さな男の子がボクの履いているデニムを指さして言ったんです、「ママ見てボロボロ!」って。けっこうな声で。
ママさんの膝に座っている男の子のちょうど真正面に立っていたので、彼の視界の正面はちょうどボクの太腿あたり。もうママさんは顔面蒼白で。そりゃ金髪ピアスで昼間の都バスに手ぶらで乗ってる得体のしれないオッサンに真正面からですから。もう目も合わせず息がもれるくらいのかすかな声で「すいません」って言ったきり、男の子の口を手でふさいで膝の上でがっちりホールドしたまま固まっちゃって。大丈夫ですよとかなんとか話しかけようかと思ったんですが、ママさんは男の子の頭に顔をうずめて丸まっちゃってるし、ここで関西弁を出してしまったらママさんにトドメをさすかもしれないと思い、とりあえず次の停留所で降りることにしました。ママさんホント逆にすいませんでした。


閑話休題。火は暖かに、水は冷ややかなり。文字にするまでもなくアタリマエのことですが、ボクは今回書くにあたって、「雑音は振り払ってあるがままをちゃんと見るべし」という戒めの言葉として解釈しました。

最近、SNSのタイムラインで選挙の話題をチラホラみかけますが、自分の意見を自分のことばで書けないひとが多いなぁと、ちょっと悶々としていたところだったので、男の子に元気をもらったような。バスを降りてから、きっと帰ったら叱られるだろう男の子に向かって「合ってるで! ボロボロやで! そのまま大きくなるんやで!」とココロの中でエールを送りつつ、残りの距離を汗だくで歩きました。


禅のことば – 031 / 365

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