逆風張帆(ぎゃくふうにほをはる)禅語 禅書 書道作品


逆風張帆

ぎゃくふうにほをはる


先日、仕事でご一緒した方との雑談中に興味深い話を聞きました。その方はプライベートで地元の少年サッカーチームの監督をされていて、発足から3年かかって最近ようやく試合で勝てるようになってきたんだそうです。よかったじゃないですかと相槌を打つと、「いやそれが弱かった時のほうがチーム的にはよかったんです」との返答。はてと思い詳しく聞いてみるとこんなお話でした。

弱小チームだった頃は練習場の確保もままならず、力のある子どもたちはみな強豪チームに取られてなかなかメンバーも集まらなかったが、弱いなりにみんなよく練習し、きつくても弱音を吐く子はいなかった。ポジションはもちろん、キャプテン、盛り上げ役、縁の下の力持ちと、コミュニケーション的な役割分担もはっきりしていた。勝てないからと辞めてしまうメンバーも少なからずいたが、結果やる気のある選手だけが残ってチームを引っ張ってくれた。
でも、努力の甲斐あってよくやく勝てるようになってくると、強豪でスタメン入りできない子どもたちが移籍してくるようになり、チーム内に派閥のようなものができはじめた。ポジションを争って足の引っ張り合いみたいなことまで起こってしまうようになり、今はサッカー以外のもめごとの処理が大変になってしまった。とのこと。

ボクもこの監督とまったく同じことをそのむかし会社経営で経験したことがあるので、聞いていてちょっと胸がチクチクしました。ベンチャーの社長さんはみなさん少なからずこういう経験されてるんじゃないでしょうか。


閑話休題。「逆風張帆」とは、読んで字のごとく、逆風に帆を張れという「順風満帆」の真逆のことばです。
前述の監督さんが今いちばん困っているのが、弱小時代に他チームに移籍したコドモたちが勝てるようになった現チームに出戻ってくるようになり、元からのメンバーと対立して雰囲気がよろしくないことだそうです。監督さんが「子どもや親御さんたちの前では絶対に言えないですが…」という前置きで教えてくれました。順風を求めて他チームに移籍して出戻ってきた子たちと比較すると、逆風の中で頑張ってきた子たちのほうが身体もメンタルも明らかにタフに成長していたそうですよ。


禅のことば – 035 / 365

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