蛮 蠻 ban ebisu 言葉 書道作品 japaneseart japanesecalligraphy


ban, ebisu : boisterous
010/365 : 2018/1/10


がん患者という立場を半年間経験してみて、面白いなとおもったのが自分のがん細胞に対する気持ちの変化です。
家族や友人ががんになったら、きっとみなさんは「わるいがん細胞をやっつけて元気になってね!」的なエールをおくりますよね。ボクも今まではそうでした。でも、実際がん患者になってみて「がん細胞をやっつけてね!」と言われ続けると、だんだん「いや、このがん細胞も元はと言えばボクの細胞なわけで…ちょっとグレてるだけなんです」と弁護したくなるという妙な感情が芽生えはじめまして。なんなんでしょうね。

劇薬で自分自身のがん細胞を狙って攻撃するのが抗がん剤治療。抗がん剤はできるだけがん細胞だけを集中攻撃するよう作られているものの、がん細胞に似た新陳代謝のサイクルが速い健全な細胞にも被害は飛び火してしまいます。骨髄細胞が被害にあって白血球数が減少し貧血になったり、毛根細胞が攻撃されて毛が抜けたりという副作用はそういう理由で起こります。
なんだかそう考えると、テロリストだけを殲滅するために爆撃するけど民間人にも被害者が出てしまう的なことが、つまりボクの体内で無益な戦争みたいなことが起こってしまっているぞと、元はといえば同じ体内の細胞じゃないか、話し合いでなんとかならないのか、みたいなことを考えてしまったりとか。


閑話休題。

今日の字「蠻」は、「蛮」の旧字体。
訓読みで「えびす」と読みます。そのむかし、古代中国で未開の異民族のことを蔑んでこう呼んだとか。

文明が開けているか未開か、振る舞いが紳士的か粗暴かなんてあくまで相対的なハナシです。粗暴だと言われるヒトも、もっと粗暴なヒトから見たら「かわいいもんだね」ということになる。ヒトの評価がヒトによって違うのはあたりまえ。逆に、粗暴と見るか、かわいいもんだね、と見るかで自分自身の立ち位置を露呈することにもなるわけで。

古代中国で「蠻」呼ばわりされていた人々もモチロン人の子。きっとかわいいところもあったはず。そんなことをとりとめもなく考えながら。


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