南洲翁遺訓 三九条 西郷隆盛 言葉


南洲翁遺訓 三九条より

Nanshuo Ikun : from the teachings of Takamori Saigo Article 39.
006/365 : 2018/1/6


どんな仕事でも、人並みを越えて一人前になろうと思ったら技術や知識や才能よりももっと大切なことがあると、ボクはそう思ってます。「だからむずかしいよね」とか知ったような顔でカンタンに片付けちゃいけないくらい大切なことが。
コドモでも理解できるくらいカンタンであたりまえなことなんだけど、実践し続けるには少しの勇気と図太い根気が必要で。幸運はちゃんとそういう人を選んでやってくるんだなぁと、身近な成功者と言われる人たちを見ていて思います。


… 閑話休題


西郷隆盛の教えを伝え聞いた人たちが後に編纂した43条からなる「南洲翁遺訓(なんしゅうおういくん)」という人生訓的なものがありまして、今日はその中から、いちばんココロに残った39条の一節を。

読んでみると西郷どん、おおらかで豪快というパブリックイメージとはちょっと違ってなかなか説教臭いおじさんだったようですね。最初から最後まで、終始一貫してとても生真面目なことが直球で書かれていました。内容的には親や先生から聞かされてきたようなオーソドックスなお説教ばかりで斬新さや面白みはありませんが、どれもこれも理解するのはカンタンだけど実行するのはむずかしいことばかり。この書を書き終えた今、なんだかずっと喉に刺さったまま忘れていた魚の小骨がまたチクチクしはじめたような、そんな気分です。

この生真面目な条文にあるような生き方を生涯貫きとおしたからこそ、大人物と評される人格者たり得たんだろうなぁ。そのあたりの頑固一徹さはイメージ通り。きっと強運の持ち主だったんじゃないかなと妄想しつつ。


今の人、才識有れば事業は心次第に成さるるものと思へども、才に任せて為す事は、危くして見て居られぬものぞ。体有りてこそ用は行はるるなり。肥後の長岡先生の如き君子は、今は似たる人をも見ることならぬ様になりたりとて嘆息なされ、古語を書て授けらる。

夫天下非誠不動。
非才不治。
誠之至者。
其動也速。
才之周者。
其治也広。
才与誠合。
然後事可成。


今の人は、才能や知識があればどんな事業でも思うままになると思っているが、才能に任せてする事は、危なっかしくて見ていられないものだ。しっかりした内容があってこそ事業は立派に行われるものだ。肥後の長岡先生(長岡監物)のような立派な人物は、今は見る事が出来ないようになったといって嘆かれ、昔の言葉を書いて与えられた。

世の中のことは、真心がないと動かす事は出来ないし、才識がないと治める事は出来ない。
真心に撤するとその動きは速く、才識が行渡っていると、その治めるところも広い。
才識と真心が一緒になった時、すべての事は立派に出来あがるだろう。